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生鮮食品 徐々に流通 仙台(河北新報)

東日本大震災の影響でストップしていた生鮮食料品の流通が17日、被災地の仙台市で少しずつ回復し始めた。野菜は徐々に入荷が再開。精肉も運搬のための燃料確保など条件が整えば、間もなく店頭に並ぶという。関係者は「買いだめは必要ない」と呼び掛ける。動きが戻りつつある流通網の中で、鮮魚だけは沿岸漁業基地への津波の爪痕が深く、入荷のめどが立っていない。

◎買いだめ必要なし/野菜

 仙台市青葉区小田原の「山形八百屋小田原店」は17日、野菜を仙台中央卸売市場から仕入れ、販売した。近くの住民ら約100人が、午前の開店前に列を作った。
 白菜、ネギ、卵などを買い込んだ近所の主婦星京子さん(69)は「震災後、青物不足で体調が悪かった。ガスが使えず、石油ストーブの上に鍋を置いて煮るつもり」と話した。
 同店によると、わずかだが北海道、愛知産などの野菜が仙台に入り始めた。安達剛史店長は「焦って買いだめする必要はない」と強調する。仕入れ値は、震災前と比べ5~6割高いという。
 仙台中央卸売市場の鈴木善弘企画調査係長によると、野菜の入荷量は普段の数%まで減っている。運搬車両の燃料不足が響いているとみられる。
 スーパー各社は、地震で被害を受けた店舗などの改修を進めている。売り場の安全確認が済めば販売を再開したい考えだが、燃料不足で大量に運搬できないため、再開時期は不透明だ。
 宮城、山形両県で店舗を展開するヤマザワによると、「従業員が被災し、人員確保もままならない」という事情もネックになっている。
 
2011年03月18日金曜日(河北新報)


◎店頭販売燃料頼み/精肉

 家畜を運搬する車両の燃料や、枝肉に加工する機械を動かす重油が不足していて、本格的な仕入れは進んでいない。
 みやぎ生協(仙台市)は「在庫精肉の販売は近く、一部の店舗でできるようになる。ただ販売には肉を加工する機械用の電気と清潔さを保つ水が欠かせない。建物被害の大きい店舗は当面難しい」と話す。
 津波で飼料製造施設も被害を受けた。八戸港石巻港の工場で製造、出荷がストップした北日本くみあい飼料(仙台市)は「倉庫が水をかぶるなどしたが、近く操業を再開したい」としている。

◎入荷震災前の1割/鮮魚

 津波で漁業関係者、魚市場が壊滅的な被害を受けた三陸産は、仕入れの見通しが全く立っていない。魚は鮮度が落ちやすく、震災で道路が寸断されたことも流通の妨げになっている。
 宮城などで鮮魚販売を見合わせているイオンリテールの東北カンパニー(仙台市)は「日本海側から仕入れるにしても、車の燃料がない。高速道路は使えず鮮度も落ちる。停電地域では冷蔵、冷凍もできない」とあきらめ顔だ。
 仙台中央卸売市場には北海道産、青森産などが入ってきているが、量は震災前の1割程度にとどまるという。
 仙台市の別のスーパー関係者は「三陸沿岸漁業の復活には相当な時間を要するだろう。これまで地場産を中心に扱ってきたが、商品構成を再考しなければならない」と話した。
2011年03月18日金曜日