ナニワ金融道
私のバイブル的漫画である。
この人はこの漫画で成功するまで、44歳まで社会の底辺で泥にまみれて生きてきた苦労人だ。
2003年に大好きな阪神タイガースの優勝を見ずして逝去してしまった。
まだまだ生きていて、私らに人生を教えてほしかったのである。
話はそれるが、私はミュージシャンをアーティストと呼ばない。
それは数年前、仕事がふけてバーを経営してる友人とそいつの友人が経営してるバーである公立高校の教師に会ったことに起因してる。
その先生は私らより一回り年長で、ドアーズが好きな人だった。
それで私の仕事を聞かれ、古書とレコード、CDを扱ってる店にいますと云った。
で何かのはずみでいいやすいもんだからアーティストって言ったら、君それは違うでと云われた。
何でアーティストが興行を打って、人に披露するねん。それはアートみたいな高尚なもんじゃない。
もっと大衆娯楽なんだ!と。
もっと大衆娯楽なんだ!と。
だからバンドはバンド、歌手は歌手、役者は役者、演奏者は演奏者なんだと。
第一、アーティストでございなんていってたら誰も聴かないでーと。
それから、別に素人の人が言葉に困ってアーティストって使う分には許せるが、文筆を生業にしてる人間がアーティストと連呼するのには辟易するようになった。
ボクシングの形容詞でKOアーティストと云う言葉があるがあれはまた別モンである。
とにかく大衆娯楽であるポピュラー音楽はアートなんかじゃないのである。
他にもこの先生とは芸能の成り立ちは、もともと見世物で一番最下層の人間が時の権力者に認められて演奏したり芸を見せたりしてた歴史的な背景の議論もして面白かった。
ナニワ金融道は所詮、漫画家は漫画家、小説家は小説家、歌手は歌手、バンドは楽団(笑)といったそれ以
上でも以下でもないといった切れ味をいつも感じるし、資本主義の厳しい現実を我々に教えてくれる名著である。