気ままに気楽に

今日も息をしています

やせっぽちのBoogie(仮題) 第3回

イメージ 1

SGT(イメージ画像)

イメージ 2

KT(イメージ画像)

イメージ 3

気ままに(イメージ画像)

イメージ 4

ましん(イメージ画像)

イメージ 5

コシ師匠(イメージ画像)


SGTは憂鬱だった。

昨日の※1YAMAHA4階の公開スタジオライヴは大好評だったものの、Guitarの秋ちゃんとBassの淑子が脱退が正式に決まったので、自分が理想とするメンバー全員ガールズバンドのGirluniverseの解散もやむなしかなあ~っと溜息をつく。

気ままにの店、Wild Honeyは神戸のバンドマンのたまり場でもあり、ここ数日毎日のようにSGTとKTは※2観音屋のウェイトレスのバイトに行く前にこの店のバンド仲間募集の張り紙を常に注視しに来ているのである。

「気ままにチャン、女子でなくてもいいからそこそこ弾けるBassとGuitarっていないかしら?」

ココの店主気ままにとSGTは高校の同級生で気ままにが組んでいたリードギターのバンマスとSGTはバンドを組んでいた事があり、高校時代は二人の事を知らない男女からは付き合っているように見えていたが、お互い付き合っている男子、女子はいたのであくまで噂に過ぎなかったが卒業後も友達としての付き合いはあるのだ。

「Kちゃんがリードギターとヴォーカルは大変だし、彼女にはヴォーカルに専念させてやりたいのよね~可愛そうだもの・・・・・」

SGTは神戸でも名の通ったガールズバンドのドラマーでありバンマスで凄腕でもあった。

高校時代はそうでもなかったが必死の努力で、女性ドラマーの最高峰でもありその組んでいたバンドもメジャーデビュー間近って処でいきなりBassとGuitarが脱退するという災難に見舞われる。

原因は定かではないが気ままにが観た限りではドラムとヴォーカルの力量に他のパートが付いていけていない感じは以前から思ってはいた。

「ちょっと最近、面白いお客さんなんだけどさ、なんか~札幌でOld Clowってバンドでギター弾いていたましんって大人買いするのがいるんだけど、イイ音だすみたいなんよ」

気ままには張り紙以外にも自分と交友のあるバンドにやミュージシャンに関しては独自の情報網があるらしく、その男もその中の一人の様である。


2週間前に神戸に引っ越してきて一人でましんは自分が加入するバンドを探していたのだ。

この男の素性はよくわからんが女好きではあるのだが音楽に対しては真摯でギターの腕前は間違いない様なので気ままには前からSGTに紹介するつもりでいたのだ。


「それとさ、あのコシ師匠のバンドが解散するみたいだからとりあえずヘルプでBASS弾いてもらいなよ」

コシとは気ままにが有志で組んだバンドでヘルプでBASSを弾いて貰った時にクラッシュのカヴァーをしたのだが、ポール・シムノンのBASSより遥かに動くジョン・エントウィッスルの様なBASSを弾く男で、BASSの練習のしすぎで小指と中指が変形した凄腕プレイヤーでもあり、気ままには尊敬と畏敬の念を含めて師匠と呼ぶのだ。

モチロン彼が率いていたバンド、The Shamはインディーレーベルで1千枚以上売上を記録して、神戸中のバンドマンで彼の名前を知らないモノがいないくらいの神戸のモッズシーンの顔役の様な男である。

「ホントに~コシさんがあ~!!助かるわ~気ままにチャン!!」

「とりあえず二人には話してるし、今度店で一度顔合わせしてスタジオでジャムってみなよ、いい化学反応が起きるかも知れないぜ!」

「気ままにさーン!!久しぶり~!!」

「おお~シドちゃん、いつ神戸に戻って来たの~??」

シドも実は店に入る直前にこのバンドのやりとりの話を少しだけ聞いていたので自分が神戸で若かりし頃、スターリンのGIGで遠藤ミチロウに愛情のボディーブローを叩きこんだ事を懐かしく思い出していた。

(第3回終わり)

※1YAMAHA4階の公開スタジオ→1970年代~80年代にポプコンの神戸予選会場になった処でキャパは50人程度?

※2観音屋→神戸元町にあるかなり昔から有名な珈琲喫茶店