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暴走パニック大激突



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この映画は1976年に深作欣二監督の元、東映から公開された。

渡瀬恒彦主演という点では俺は「狂った野獣」の方が印象があるのですがこの映画も当時の邦画アクションの勢いを感じさせてくれる快作だ。

クライム・ムーヴィーでよく銀行強盗が題材にされる。

現実に出現する銀行強盗は、残虐で殺人もしたりしてかなり印象が悪かったりするんだが、映画に出てくる銀行強盗はいわゆる悪い奴らなんだが一抹のヒロイックさがある。

異論があろうが、銀行や現金輸送車なんてのは盗難の際の保険をかけている。

だからその銀行の預金程度(数億円)が強奪されたと言っても不謹慎だが誰も困らない、保険で補てんするからだ。

未だに未解決な現金強奪事件、3億円事件の犯人や神戸で起きた5億円強奪事件は犯人が捕まらず未解決のままであるが、ある意味あっぱれな完全犯罪と言えよう。

ただ映画的にそういう完全犯罪者が強盗をしてしまうと面白くないので、カーチェイスも交えて、派手に車をぶち壊し、バイクを炎上させたりこの映画はしている。

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この映画に出てくる警察やマスコミは決して視聴者からいい印象が与えられる雰囲気ではない。

川谷拓三扮する警官や同期で成り上がった上司にあたる刑事なんかは組織の中のワルって描写である。

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関西、とくに神戸や阪神間が舞台になっているのでオールロケなんでしょうが、色んな見慣れた風景が出てきて面白い。

冒頭に出てくる第一勧業銀行は三宮にある支店で今のみずほに代わる前に建て直しをしたんだけど、俺らが電工の仕事していた時に避雷針のアースを地中深く埋めた処だ。

暴走族が出てきて暴れまわるのもこの時代で神戸はミナトまつりが暴走族の妨害にあい中止になった(死者も出た?)事件があり悪名を轟かせたのもあったりして世相を反映している。

暴走族の生態を実況している放送局(NHKがモデルと思われる)のアナウンサーが最初は冷静にインタビューしていたのが、強盗事件の犯人とのカーチェイスに巻き込まれ狂気の沙汰となり、自分もマイクロバスを暴走しだす処なんかマスゴミの本質をついていて傑作だ。

世の中、こううまくいくかよってな映画なんですがこの時代の少し鬱屈した空気を吹き飛ばすカーチェイスアクション映画であり、渡瀬芸能界最強伝説もうなづける傑作である。