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レフトフック・デイトン

アントニオ猪木が彼自身の全盛期、30代の頃に自らプロレスリングは最強であるという考えのもとに推し進めていた異種格闘技路線というのは共同プロデューサー、梶原一騎が一押しするプロ空手、極真空手、マーシャルアーツのブームとともに世間にも届いた1970年代の素晴らしい企画でした。
 
その異種格闘技戦はいわゆる約束事のあるプロレスではあったのですけれど、プロレスラー同士が戦うソレとは違って一見、かみ合わなさそうな格闘技の猛者と相対する場合もルールを設定して視聴者にも分かりやすく見せていたのがHITの要因であった様に記憶します。
 
特に組技系の猛者(柔道やアマレス等)はそうプロレス・ルールと変わらないからそう工夫は要らないし加減の仕方も分かるからさほどシナリオも描きやすいのですが、打撃系格闘技の猛者(ボクシング、空手等)の場合、猪木もM・アリ戦(コレは真剣勝負だったので)でその戦い方が世間から非難を浴びたため、工夫を余儀なくされました。
 
そこでプロ空手王者やマーシャルアーツ王者と対戦する時は自らが不利になる様な寝技10秒ルールでロープブレイクありとプロレスラーからしたらかなり厳しい条件で試合をするようになります。
 
だから視聴者からも分かりやすいスタンディングの攻防がみられてかつプロレスでもあるので猪木も思い切ったファイトが出来るようになります。
 
とは言っても顔面打撃があるってのはプロレスラーからしたら相当に恐怖があったでしょう。
 
ヘビー級のパンチはアリ戦で猪木も述懐してますけどかすっただけでもKOされる恐れがありますし、約束事が分かっていてもアクシデントが起きる可能性が高いわけですから。
 
そういった打撃系格闘家との名勝負の中でもこのレフトフック・デイトンは相当の強豪でした。
 
スリーパーホールド(裸締め)が決まらない首の人って稀にいるみたいなんですが、この選手がそうで組技中心のプロレスラーからしたら厄介でフィニッシュをどう決めればいいか難しいです。
 
そこで頭突きです。このアイディアは秀逸でした。プロレスラーはいつ何時、誰とでも闘うと標榜していた猪木の面目を保つとともに非常に緊迫した名勝負になりました