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早春スケッチブック

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TVドラマ「早春スケッチブック」は1983年のまさに早春に放送されていたと記憶します。

山田太一脚本の名作ドラマで今も一時隆盛を誇っていたTVドラマ脚本家からも絶賛され、ホームドラマのひな型として常にプロの勉強材料の素材になるそうである。

俺の個人的な見解なんだが、日本のTVドラマの秀作は1980年代後半で死滅したと思っていて、コレとショーケンこと萩原健一が主演した「君は海を見たか」が80年代のBESTと見ています。

山田太一と言えば、「北の国から」や「不ぞろいの林檎たち」が永遠の金字塔として語られるが、俺は違います。

このドラマが彼の最高傑作です、俺の中では。

お話の方は普通の4人家族のお話なんですが、娘・良子(中1)は父・省一の前妻との間の子。息子・和彦(高3)は母・都が昔の男との間に作った子(結婚はせず)という、実は複雑な4人家族。

良子(二階堂千寿)の前に突然、謎の中年男が現れる、その男が沢田竜彦(山崎努)で望月都(岩下志麻)の元夫で圧倒的な存在感を見せます。

望月 省一河原崎長一郎)は信用金庫に勤める典型的なサラリーマンで良子の実の父親なんであるが良子は思春期独特の反抗期でもあり、元キャメラマンで自由な発想や発言をする沢田に男としてというよりその危険な父性に心ひかれる。

息子、和彦鶴見辰吾)はその沢田の実の息子であり、実はこの父を尊敬していて実の母、都に対して疑念を持っている進学校に通う超エリート高校生。

でこの異父異母兄妹が葛藤しつつ、成長していく中で沢田の存在がより大きくなってきたところで実は大きな悲劇と試練が彼らに、待ち受けていて何故沢田がこの一見幸せそうな4人家族の元にいきなり登場したか真実を知る事になる・・・・・・・・

このドラマを当時、毎日俺はバンドを一緒にしていたバンマスの家でひとくさり、練習した後毎週金曜日に観ていた。

そこで別のバンド仲間のベーシストの家庭環境に想いを馳せたことがある。

ソイツの場合、実の母と幼い頃に死別して父親が再婚して実の母親ではない母親と過ごすことになるのだが、妹は女性特有の身のこなしで仲良く装うが、ソイツは成人してからもその母親と折り合いが悪く、お母さんと呼べず、あのおばさんって常に呼んでいたようだった。

当時、俺は山崎努と言えば映画「影武者」での信玄の実の弟としての重厚な演技、「八つ墓村」の怖ろしい役、「必殺仕事人シリーズ」のクールな殺し屋のイメージがあってあまり演技者としての実像は分かっていなかった。

このドラマを観て物凄い役者で萩原健一が尊敬し、彼の亡くなった実兄にソックリで思い入れたっぷりに語っていたのがよく分かった気がする。

もう10年遅く出現していたら、いや今からでも遅くはないのでこの人を欧州の映画人やタランティーノあたりに評価していただきたいものだ。

日本の俳優で極私的に演技が一番すごいし素晴らしい役者であるって認識が俺にはあって当時、このドラマの山崎を真似て、「ありきたりが~」って仲の良かった女子の前で真似したりしても残念ながら、歌舞伎役者のモノマネしてるの?ってまるで理解されなかった馬鹿かりし苦い思い出がある。

今一度、全話再見したい傑作ドラマである。