気ままに気楽に

今日も息をしています

ある殺し屋

イメージ 1
 
イメージ 2
今、俺はチンケなブログ私小説を書いていますけど、この映画をおおむかーしに観た記憶がありまして先日CS放送で久々に観たのですが、見事なジャパニーズ・ノワールな作品で8代目市川雷蔵のCoolな魅力全開の映画で今後の私小説の世界観に活かしたいなあ~って思いました。
 
男たるとも皆こういう無口でニヒルな人間を目指したりするのですがなかなかこんな存在感が出ない処に伝統芸能の凄みがあると思うし、勝新がある意味嫉妬し、本人も大映に対し俺は鶴田浩二じゃないんだ、チャンバラ劇ならお断りだってくらい殺陣なんかの立ち回りにこだわりのあった人らしい。
 
映画の方は1967年、藤原審爾の小説『前夜』を森一生が映画化し野川由美子成田三樹夫小池朝雄など豪華脇役陣が揃う見事なキャスティングで名キャメラマン宮川和夫のアングルも冴えわたる作品である。
 
小料理屋を経営し自分で包丁をふるう塩沢(市川雷蔵)は実は仮の姿であり、本当はプロの頃し屋であり今まで一度も失敗したことない凄腕なのだ。
 
暴力団木村組組長(小池朝雄)から敵対する暴力団組長の大和田(松下達夫)の殺人を2千万円で請け負い、難なく大和田を始末する。その手口が鮮やかで女性が頭髪に使うかんざし?を使ってを厳重警戒されている披露パーティーの中鮮やかにターゲットを仕留める描写は後のTVドラマ「必殺仕事人」なんかに影響を与えたと思う。
 
塩沢の腕に惚れた木村組幹部の前田(成田三樹夫)が弟分にしてくれないかと現れるが断られる。ひょんなことから圭子(野川由美子)という女が加わり、2億円の大仕事を計画する。二人は塩沢を裏切るが塩沢はそんなことは織り込み済みで、墓場の裏での大決闘シーンなんかもクエンティン・タランティーノ北野武に大いなる影響を与えたと思われる見事な描写ではありました。
 
この市川雷蔵と言う人、1969年に若くして絶命しているのですが大映の2枚看板として勝新太郎ととも「眠り狂四朗」シリーズで邦画界を盛り上げた人ではあるが、むかーしはあまり特徴のないのっぺりした顔だなあーって思いましたけど、スクリーンや画面の上では知的なニヒリスティックな邦人離れした魅力があり今後もこの人主演作を追いかけてみてみたいとは思う。
 
この映画は女はもちろん、成田三樹夫が霞むくらい男も惚れるCoolで無口な男の世界観が凝縮されています。