気ままに気楽に

今日も息をしています

ア・ホーマンス

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こういう原作劇画が存在するのはこの映画を観て初めて知った。

コレは俺劇場で観たのか?ビデオで観たのか?記憶がはっきりしないのですが、この映画で松田優作の一つの演技者としてのパーソネルを確立したかもしれない。

コレは1984年に劇場公開された映画でTVドラマ「探偵物語」などで演出していた小池要之助氏が撮影していたらしいのだが、松田と制作サイドがもめて結局松田自身がメガホンを取り3週間足らずで制作された映画である。

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俺はあんまり狩撫麻礼という原作者は知らないし、当て字的なボブ・マーリー、レゲエ信奉者的な響きがあって好きではない。

ただ映画とは関係ないことだけど日本の漫画文化は世界に誇れるというより世界一だ。

こういう漫画的表現で日本は世界のどの国よりも進んでいる。

だからアニメーションまではイイのだけど実写化してコケる漫画原作は多い。

日本の濃密な漫画の世界観を実写で表現するのは困難だ。

ただ例外もあってこの松田優作という男優は漫画の世界観に負けない肉体と表現力を持つ。

この映画も小品ではあるがその一つと言いきりたい。

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ヤクザの抗争劇に巻き込まれる風来坊の話なんだけどどことなくこの映画の松田には人間臭が感じられれずレプリカントやアンドロイドのような超な存在に見えた。

まさに漫画表現でしか出来ないような存在。

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この映画で俳優、石橋凌が誕生する。

元々この人もARBのバンド活動で表現者として存在感を放っていたし、本人自身も演劇が好きだったんじゃないだろうか?

北野武がメガホンをとらざるを得なくなって撮った「その男凶暴につき」なんかと舞台裏は似たような設定ですけど、北野と違うのは松田という人が限りなく漫画表現に負けない存在感があり映像の中でリアルを出せる稀有な役者であるという認識。

どこか醒めていてクール、それでいて熱い魂を持った男の映画と言えよう。

ビジュアル的には「ブラック・レイン」に繋がっていると個人的に思う。


劇中の挿入歌ARBの曲も素晴らしい♪