ワイルド・エンジェル
映画「ワイルド・エンジェル」はBムーヴィーの帝王であるロジャー・コーマンの最大HIT作であり、この映画に流れている若者の嫌世感というものは1966年公開という時代性も相まり、勝手な個人的考察ですがロックムーヴィーの最高峰とも言える、この3年後のイージー・ライダーや門下生コッポーラの執念の20世紀最大問題作「地獄の黙示録」に繋がるものだと考えます。
俺の中ではCUT誌でも特集が組まれた事があったけどRockな映画、Punkな映画と言うのはただ単にそういう系統の音が流れ風俗を切り取るのではなくあらゆるジャンル(恋愛、戦争、犯罪、差別等等)に痛底する根本の処で型破りであったりアナーキーであったり無秩序であったり虚無感をダイレクトに観衆や視聴者に訴えかける映像だと言う感覚、コレは同意を得られるかどうかは別としましてね。
この映画は少年時代に日常洋画劇場で断片的に観た記憶があって改めてWOWOWか?で全編ノーカットで観直して改めて傑作だと感じた。
物語はカリフォルニアに生息するワイルド・エンジェルという暴走集団の生態を描いているのだがコレはモロ、ヘルーズ・エンジェルスの事であり実際、主演のピーター・フォンダやブルース・ダーンやナンシー・シナトラ以外の脇役でモノホンのヘルズ・エンジェル達を起用しているのだから画の迫力は満点である。
冒頭でブルース・ダーンがメキシコ人集団の不良に盗まれたバイクを探そうとピーター・フォンダに仕事中に誘われるのだが、その重機械を動かしている現場の仕事をせずに話をしている様を観た現場監督がとがめるとじゃかましいわい!って仕事をヤーンピして現場をバイバイしてピーターと一緒に去るシーンなどは落ちこぼれでつまらない肉体労働しか職の無い日常からオサラバするってな小さなシーンではあるんだけれど若い頃ってこういうのに憧れたよななんて思ったり。
ダーンの盗まれたバイクを探す前に州南部の渓谷でパーティーを開きつつダーン達はメッカと言う街でメキシコ人達不良グループを発見、そこで大乱闘となる。
もちろんこういう無法者は警察もマークしているのでその乱闘現場を掃討しようとするがほとんどの奴らは逃げるがダーンは警官の拳銃に撃たれ重傷を負い病院に放り込まれる。
だがワイルドエンジェル達は瀕死の状態のダーンを病院から奪還する事に成功、何故ココで病院から脱出させるのか俺にはイマイチ意味がよく分からんかったのですがこいつらのポリシー?として病院なんかで治療なんかするんではない?って決まりでもあるのか?当然、ダーンの病状は悪化し絶命する。
この映画で全てのこの系統のモノに通じる箴言をピーター・フォンダが牧師に訴えかけるシーンはこのやさぐれ野郎どもの行き場の無い怒り、生まれたときからヒエラルキーがあって半端者は半端者としてしか世間も観ないし、お前の教えなんか実践なんて出来るわけね~んだよ!!馬鹿野郎~!ってな内容の台詞を語るシーンは俺の中ではこの手の色んな映画の中でもぐっとくる瞬間でもあった。