気ままに気楽に

今日も息をしています

仁義なき戦い

イメージ 1
 
映画、仁義なき戦いは1973年(昭和48年)に公開されました。
 
コレはいわゆるモノホンの広島呉でやくざだった美能幸三氏が獄中で書いた手記を作家、飯干晃一がほぼ現実にあった抗争事件を忠実に再現したノンフィクションドキュメンタリー小説として、人気を博した原作の映画化である。
 
俺と同世代から上の70代くらいの人でこの小説を読破、もしくは当時週刊サンケイの連載を読んだ御仁も多いであろう。
 
またこのシリーズのオールナイト興行を映画館で体験した人も多かろう。
 
俺は今、三宮でBarを経営している友人(やくざ映画とホラー好き)のドラムと
12時間ぶっとうしで今はもう潰れた神戸新開地(ココもこの映画シリーズの舞台になっていたかも?)の東映直営館でセイガク時代にハンバーガーとラーコだけで観たことがあるんだけれどそういう経験の御仁も多いであろう。
 
何冊あったか?もう記憶に定かじゃないが結構ヴォリュームのある小説でしたけど割と短時間で読破した記憶があります、読んでいる途中から実録という生々しいのと舞台が広島だけではなく俺の地元の阪神間や大阪、神戸(明石組という山口組がモデルになる巨大組織が出る)なんかが出てくる身近さも手伝ってグイグイ読者を引き込む部分も関係ありますまい。
 
この映画を今、WOWOWで改めて特集をしているのでHDD録画、ブルーレイ保存って形で観て感じたのは映画や小説もそうなんだけれど脇役が重要である!ってことかな。
 
もちろん主役の広能昌三役の菅原文太にとってもそれまでの泣かず飛ばずな役者人生から起死回生の満塁逆転ホームラン、メガトン級KOパンチを放ったと思うんだよね、トラック野郎を彼の代表作と観る人も居るけど俺は「人斬り与太」シリーズから連綿と続くこの実録シリーズこそ彼の代表作であると見ています。
 
この映画の細かい分析はそれこそ色んな処で語られているので省きますけど、私見で行くと人生40年以上生きていたら、若い頃とかにこういう奴にであったよな~って妙な同意を得ることである。
 
広能が最初に身を寄せる山守組の山守親分(金子信雄)ってこういう人、現実のサラリーマン社会でも居そうだし、コウモリとしか形容できない槇原(田中邦衛)なんてのはそれこそ、このブログをご覧になっているブロガーの皆さんの身近に1人は居ませんでしたか?そういう実録モノに通底するリアルな肌触りもあってこの映画は空前絶後の大HITを飛ばす。
 
イメージ 2
 
イメージ 3
 
わしゃの、実はのとか言って口を尖らして彼らの真似をギャグでした御仁も多いであろう。
 
イメージ 4
 
こういうコウモリ的世渡りってのもコレ又才能でもあり、ある意味狡猾な部分は老若男女少なからず持っていたりしてそういう我欲をむき出しに赤裸々に描いた本作はだから多くの視聴者の同意を得られた一因だという個人的認識。
 
東映のそれまでのやくざ映画と言えば、義理と人情に厚い明治時代くらいの耐えて忍んで、最後に大爆発して大暴れして観客はスカッとする鶴田浩二高倉健主演の任侠映画が主流であったがソレは、あくまで理想であり虚像であり仁義など実際は存在するもんか!実態はこうだったんだ!という昭和の戦後間もない頃の原爆を落とされた広島を舞台にした昭和の荒くれ者だからこそ、まさに俺の中では性春も青春も暴力と金銭だけが全てな世界観にプラス、戦国時代のような下剋上や裏切りが渦巻く劇的な展開がこの映画を邦画史上に燦然と輝くモノに仕立てたように思うんんだ。
 
映画館で度肝を抜かれたのは手持ちキャメラで撮影しているんだけれど、返り血がレンズに付着したり、もう上下逆さまあらゆる角度から抗争やケンカシーンを撮影しているんだけど臨場感と緊張感がみなぎっていて深作欣二のセンスと効果的な津島利章の紡ぎだすメインテーマ曲と原爆ドームの映像は永久不滅であると言い切りたい。
 
イメージ 5
 
 
イメージ 6
 
役者、菅原文太のイイ処はコレの番外編シリーズでも主役でちょっとチンピラっぽい役もしているのが好感が持てる。そう著者の美能氏の獄中手記が元なので自分は多少なりとも脚色、美化したくなるよね?そういうのも分かっていたかどうかは別として人間には多面性があると言わしめる傑作人間青春映画であることは疑いようのない事実なのだ。