追跡
一時、当ブログで真夏の怪談記事ってのをしていたが、心霊写真、怪奇現象の類はほぼ作り話、怖い系エンタメとして出尽くした感があるので、今後は趣向?を凝らしてエンタメの映画の中で強烈に印象に残る映画で少しだけ納涼を味わっていただきたいと考えています。怪談話してる芸能人なんかの話より俺の方が怖い体験してるわ!ってレベルなんで正直。
結局、一応人間が今の処地球上の生物の中で脳だけ高等生物なんで色々なものを創造できる、その中に恐怖的なモノがあるのだがこれだけデジタル化して今まで感覚でしかわからなかったのが映像ではっきり観える時代になるとロマンはなくなる。が、心理的に怖い、見間違いだろうけどわけわからん?事象は未だにありそういうのを膨らませるのが小説や漫画、映像、美術だったりするわけだ。そこで第1弾だ。
1962年に公開された米映画「追跡」原題Experiment in Terrorは隠れたサスペンスのの名作傑作と言われるブレイク・エドワーズ監督作で後のサスペンス映画に多大なる影響を与えたとされる。
この映画の気味悪さは映画の途中まで何故?主人公の女性銀行員が狙われ脅迫されその妹も含め、犯罪に巻き込まれる理由がイマイチわからない処にある。
それともう一つはこれはキャメラマンのキャメラワークの絶妙さなんだが冒頭いきなり主人公女性が自宅ガレージにて後ろから羽交い絞めにされ脅されるシーンでも犯人の顔が観えないように影で覆われて光が当たらない演出をしている。
もうひとつは脅迫電話をするたびに犯人の口元だけを写す、喘息持ちのようであり息がとぎれとぎれに話すとか、色んな不気味な要素が詰まっている。
ラストエンドロールまでいつも悪役専門の俳優のクレジットがないとか、一時期俺らの映画観ていた時代にも流行った決して結末は伝えないでくださいという告知など、映画「サイコ」なんかもそうだが細部に凝った内容である。
脅迫された銀行員の女性は犯人に始終、監視されている状態で犯人は女性の家族構成や生活時間、行動パターンなどもすべて把握しているのも気味が悪い。
おそらくこの女性はそこそこの今でいうキャリアウーマンで社会的地位も高いと思われる、でFBIに内偵を頼むが当然そういう動きも犯人にばれる。
この犯人は余罪があってすぐ容疑者が浮かぶのだがなかなか尻尾を出さない、ただ完全なワルではなく以前に付き合いのあった女性の子供の難病を救うために大金(おそらく盗難したんだろうが)を与えたりしてるので、その女性からしたら子供を救った恩人で子供からしたら神様のような存在であるところも、人間の心理のひだをついている。
ここまで記述すればこの映画がどの映画に影響を与えているか?といえば巨匠、黒澤明の「天国と地獄」である。
他にもリンチって役名の俳優が出たり、ツインピークの街に被害女性が住んでいるのがミソだったり。
犯人が結局大金目当てでSFジャイアンツの本拠地の試合中に金の受け渡しを要求し、女性はFBIと銀行頭取の了解、指示を受けてクライマックスのスタジアムでの最後のスリル溢れる展開にハラハラするのだ。